不動産投資は本当に節税対策になるのか!?

不動産投資と節税対策 不動産

今何かと話題になっている不動産投資。某銀行不正融資の発覚を機に、収益不動産への融資が引き締まり以前ほどの活況はありませんが、まだまだ収益不動産の売買は多い様です。

そこで良く耳にするのが「不動産投資は節税になる」という営業トーク…。

そもそも不動産投資は家賃収入(インカムゲイン)を得る、売却益(キャピタルゲイン)を得るなど、収入を得る事が目的です。収入を得れば所得が増えることになり、支払う税金が増えるはずです。

それがなぜ節税につながるのでしょうか?その謎に迫りたいと思います!

■不動産投資とは!?

不動産投資とはその名の通り、不動産にお金を投じて収益を得る事です。

不動産という資産に関する投資であり、不動産を現金で購入して投資する他に、金融機関から借り入れをして投資をすることでレバレッジを効かせることができるのが特徴の投資です。

ミドルリスク・ミドルリターンの投資として以前からこれまで注目を集めています。

そんな不動産投資にて得られる収益は大きく分けて二つあります。

□ 家賃収入(インカムゲイン)

不動産を貸して家賃収入を得る事で、不動産投資でのメインの収入といえます。具体的には下記の種類があります。

【一棟のアパート、マンション投資】

アパートやマンションを一棟まるごと購入、または新築して家主業をしていく投資です。

土地と建物一棟を購入する為、その購入額が大きくなり、それに伴って借り入れをする場合は、その借入額も大きくなります。

物件によって異なりますが、小さいもので4戸から大きな鉄筋コンクリート造の建物などで20戸~50戸以上と扱う戸数が多いため、規模の小さい区分マンション等と比べて多くのキャッシュフロー(借入返済額、経費・税金を差し引いた手元に残る資金)が見込めます。

建物の構造・規模によって異なりますが、大規模修繕費用、原状回復費用、共用部の電気水道代、管理会社への管理料などのコストが多岐に渡りかかるので、事前に事業計画等を組み考慮する必要があります。

【区分マンション、戸建投資】

区分マンションや一戸建てを購入して貸していく投資です。

一棟アパートやマンションに比べて投資額または借入額は少なくすみ、不動産投資の中では手軽に取り組めますが、その分キャッシュフローは少なくなる傾向があります。

また、一戸だけ所有している状態ですと空室か入居中かで収入が0%か100%となりますので、空室の際はコストを払うのみと赤字になります。区分マンションの場合は土地を共有して所有するという特徴があるため、再建築等の自由度が少なくなるデメリットもあります。

ランニングコストとしては区分マンションは管理費、修繕積立金、原状回復費用等が、一戸建ては大規模修繕費用、原状回復費用等が必要です。両方とも賃貸管理を管理会社に委託する際には追加で管理料が必要です。

【土地投資(借地、月極駐車場等)】

利便性の良い立地や、幹線道路沿いなど需要のある土地は借地として貸す事が出来ます。

この場合、ランニングコストはほとんど必要なく、安定的に地代が入ってきます。

しかし、こうした借地需要のある土地は価格が高い傾向があるため投資額が高くてなりがちなのと、借地で貸している期間は他の利用が出来ないデメリットがあります。

月極駐車場やコインパーキング等で利用する事もできますが、その際は管理料などのランニングコストが必要となります。

【その他の不動産投資】

その他の事業性の高い不動産投資として、民泊、簡易宿泊所、トランクルームなどがあります。

それぞれに需要のある立地が限られている為、ポピュラーなものとは言えないです。その分、ハマればリターンは期待できるでしょう。

□ 売買差益(キャピタルゲイン)

不動産を購入して付加価値をつけたり、値上がりするのを待つなどして、購入した価格よりも高い価格で売却をします。

その売買差益をキャピタルゲインと言います。

売買差益(キャピタルゲイン)を得る為には不動産を相場より安く購入する必要があります。また、相場観を見誤ると利益を得るどころか、損益を出してしまう事もあります。

情報が入ってきやすい不動産屋がしている事が多いです。

ちょっとハードルが高めかな…と思いますので、家賃収入(インカムゲイン)をメインに考えて、タイミングや条件が合えば保有している不動産の売却を考え売買差益(キャピタルゲイン)狙うような、 売買差益(キャピタルゲイン) をおまけとして考えていくのが良いです。

それだけを業務としている不動産屋ならまだしも、そうでない場合は売買差益(キャピタルゲイン) をメインで考えていくとリスクが高いと思います。

■節税対策の肝は減価償却費!?

不動産投資は基本的にお金を増やす=収入を増やす目的で行うため、収入(所得)が増えて、節税どころか所得税等の納税額が増えてしまうはずです。

ではなぜ「不動産投資が節税になる」という営業トークがあるのか・・・

そもそも「不動産投資が節税になる」は真っ赤なウソなのか・・・

ウソではありません。節税する方法はあります。

それは不動産投資での所得を赤字にする事です。赤字にする事で給与所得(その他の所得)-不動産所得の赤字となり節税する事が出来ます。

ですが実際に赤字が出ては意味がありません。

確定申告等の帳簿上のみ赤字にする事が出来る、つまり実際のお金の流れハプラスになっていて、尚且つ税金が戻ってくる場合があるのです。

その肝となるのが「減価償却費」という「お金の支出を伴わない経費」です。

減価償却費とは不動産(建物)を購入した際の金額を、将来にわたって毎年分けて経費計上しようと言うものです。

建物は購入した年のみ使うものではなく、何年かに渡って使うものなので相当の年数に割って経費計上していくのです。

この減価償却費は実際にお金が出ていくのではなく、帳簿上で経費として計上しているものです。

ということは、この減価償却費分、実際にには現金が残る事となるのです。

※ちなみにこの減価償却費は建物にしか適応出来ない為、土地による不動産投資には関係ありません。

では実際にどのくらいの金額を減価償却費として計上出来るのでしょうか。
建物の構造によって耐用年数という年数が決まっており、その年数分建物購入額を分けて費用計上できます。

またその計算方法は新築か中古建物かで異なります。

□ 新築建物の場合

新築建物の場合は下記計算により毎年計上できる減価償却費を算出します。また、その減価償却費は耐用年数の期間毎年計上できます。

建物価格 × 耐用年数による償却率 = 減価償却費/年

例① 建物価格:3,000万円
   構造:鉄筋コンクリート造(RC造)

法定耐用年数:47年

3,000万円×償却率0.022=減価償却費66万円/年

※この場合66万円を47年間毎年経費計上できます。

例② 建物価格:3,000万円
   構造:重量鉄骨造(S造)

法定耐用年数:34年

3,000万円×償却率0.030=減価償却費90万円/年

※この場合90万円を34年間毎年経費計上できます。

※耐用年数による償却率は国税庁の定めている「耐用年数省令別表八」を参照しております。 減価償却資産の償却率表(平成19年4月1日以後取得 ・定額法償却率)

□ 中古建物の場合

新築と耐用年数の計算が異なります。

(法定耐用年数 - 築年数)+(築年数 × 20%)= 耐用年数

また、築年数が法定耐用年数を超えている場合は

法定耐用年数 × 20% = 耐用年数

となります。

例① 建物価格:3,000万円
   構造:鉄筋コンクリート造(RC造)
   築年数:25年

法定耐用年数47年-築年数25年+(築年数25年×20%)=耐用年数27年

3,000万円×償却率0.038=減価償却費114万円/年

※この場合114万円を27年間毎年経費計上できます。

例① 建物価格:3,000万円
   構造:重量鉄骨造(S造)
   築年数:25年

法定耐用年数34年-築年数25年+(築年数25年×20%)=耐用年数14年

3,000万円×償却率0.072=減価償却費216万円/年

※この場合216万円を14年間毎年経費計上できます。

例① 建物価格:3,000万円
   構造:木造(W造)
   築年数:25年

法定耐用年数22年×20%=耐用年数4年(※小数点以下切り捨て)

3,000万円×償却率0.250=減価償却費750万円/年

※この場合750万円を4年間毎年経費計上できます。

※耐用年数による償却率は国税庁の定めている「耐用年数省令別表八」を参照しております。 減価償却資産の償却率表(平成19年4月1日以後取得 ・定額法償却率)

これだけの額を実際のお金の支出を伴わない費用として計上できるのであれば、確かに「不動産投資は節税になる」という営業トークもうなづける様な気がします。

しかし、節税だけにとらわれると本来の目的を見失う事にもなりかねないので注意が必要です。

■節税対策の不動産投資には注意!?

不動産投資の目的のメインは継続的に家賃収入を得る事とです。

節税だけを目的とすると、メインの家賃収入を疎かにしまったり、購入価格の相場を見落としていたりなんて事に繋がりかねません。

□ 実際にあった失敗例

実際に私はあるマンションの売却依頼を受けてびっくりした事があります。

相談頂いたのは関東区分マンションの売却。賃貸中(サブリース賃貸)で3年程前に購入された物件との事でした。

売却価格の相場を見ようと、そのマンションの成約事例を調べてみると…3年程前の購入価格が相場よりも500万円ほど高いのです。

つまり、相場よりもかなり高い価格にてマンションを購入されていたのです。

3年程前購入当時の話を伺うと「所得税の節税対策になる」というトークに押されて購入したのだとか…

現状、毎月の家賃収入からローン返済額を差し引くとほとんど収入は残らない状況で、固定資産税の支払いは手出しされていました。家賃収入を得るための不動産投資で赤字を出している状況でした。さらにローンの返済残年数は30年程残っていると事です。

何とかして差し上げたい!と思いましたが、相場価格にて売却をしようとすると、その価格はローン残額にも満たない状況…

その旨を説明したところ「しばらく様子を見ます…」との事でした。

■ まとめ

私は節税対策だけを目的とした不動産投資はおススメしません。

節税だけを目的とすると、帳簿上だけとはいえ赤字を出す事となります。長期的に家賃収入を得るの事が本来の目的と考えると、節税はその目的から逆行しているのです。

また、減価償却も一定期間が過ぎると経費計上できなくなる為、ずっと節税が続く訳ではありません。

もちろん、家賃収入による手取り額を増やす為に、節税を心掛けることは大切だと思います。ただあくまで、継続的に家賃収入を得る事が目的であり、節税はおまけです。

不動産投資でしっかり利益が出て黒字になる事は、それだけその投資が順調に推移しているという事。

利益が出た分、所得税を納めていく。それが不動産投資の本来の姿ではないかと思います。その中で手取り額を増やす為の手段として節税があるのです。

多額の資産をお持ちの資産家の方が、相続税対策として不動産を購入する事で、節税効果を得る事は出来ます。ですが、一般のサラリーマンで、それ程の資産を持っている方は少ないと思います。

収益不動産をご購入する方の状況によって変わりますが、誰彼構わず「不動産投資は節税になります」という営業トークを使っている営業マン、会社には注意が必要だと思います。

家賃収入を得られて、尚且つ節税にもなる。そんな甘い話しにはご注意を!